マイコプラズマ肺炎というのは、外来でしばしば見かける肺炎です。学校などで 集団発生することもあります。マイコプラズマ肺炎に代表される肺炎は '異型肺炎=普通とは違う肺炎'とも呼ばれます。その理由は、重症で入 院が必要となる他の細菌性肺炎の場合とは違って、レントゲン上の派手な肺炎の影の割には、全身状態 がそんなに悪くないことが多いからです。したがって、場合によっては外来通院で治療可能な場合もあ ります。 |
|
�マイコプラズマとは何ですか? |
マイコプラズマは、ちょっと変わった病原体です。難しいことは抜きにして、ウイルスよ り大きく細菌より小さい病原体と覚えておけばよいでしょう。 |
|
�マイコプラズマ肺炎の特徴は? |
しつこい咳と発熱が特徴で、 聴診器で胸の音を聞いても悪い音がしないことが落とし穴になります。細 菌による肺炎は細気管支や肺胞という、吸った空気の通り道を中心に炎症が起っていますが、マイコプ ラズマによる肺炎は間質といって、細気管支や肺胞の外の部分に主として炎症が起っています。ですか ら、胸の音を聴診器で聞いても、肺炎特有のプツプツという泡がはじけるような音が聞こえにくいので す。しかし、時間が経ってくると、炎症が細気管支や肺胞の中に広がってきて、肺炎特有の音が聴診で 聞こえるようになってきます。細菌性肺炎は小さいこどもがかかるほど重症になりますが、マイコプラ ズマの場合、不思議なことに、乳幼児はかかっても肺炎にならずにカゼで終わることが多く、 年長児の方が肺炎になりやすいといわれています。これは言い換えると、 マイコプラズマに2回以上かかった時の方が、初めてかかるときよりも肺炎にになりやすいということ です。逆に、肺炎になってしまうと、乳幼児の方が重症になります。潜伏期は2〜3週間で飛沫感染し ます。 |
|
�どのように診断するのですか? |
外来診療の実際をお話するとわかりやすいと思います。熱が出ていたり咳が激しい時は抗 生剤を出します。この抗生剤にはいろんなグループのものがありますが、効果と副作用のことを考え て、最初はセフェム系やペニシリン系といわれる抗生剤を処方することが一般的です。ふつうのカゼの 場合、長くても4日くらいすると、症状が治まってくるものですが、それを超えて熱やひどい咳が続く 場合は、ほかの病気であることがあり、少し警戒して抗生剤の種類を変えたりします。さらに続いて一 週間くらい経過しても症状がよくならない場合は、血液検査、尿検査、レントゲンなどの検査をしま す。マイコプラズマ肺炎の場合、この時、胸のレントゲンであっと驚くほどの白い影 があるのです。この肺炎では、よほど注意して聞かないと肺に雑音が聞こえないという落とし穴があります。そのため、積極的に肺炎を疑うのは難しいケースがあります。しかし、しつこい咳が続く時は、例え熱が無く て胸の音がきれいでも、レントゲンでこの白い影を発見することが案外多いものです。もう一つの落とし穴は、マイコプラズマには通常外来でよく出す、セフェム系やペニシリン系の抗 生剤が効かないということです。ですから、抗生剤を内服しているのになかなかよくならない カゼの場合には、積極的にマイコプラズマ感染を疑わねばなりません。さらに、血液検査でマイコプラズマの抗体の上昇が認められた場合、診断が確定します。この 抗体は2〜3週間して上昇してくるので、肺炎と診断された時の血液検査では、まだ上がっていない場 合もあります。マイコプラズマ肺炎に違いないと思っても、この血液検査でマ イコプラズマ抗体が上昇していない場合、クラミジア(細菌の一種で、しつこい咳を伴うカゼや気管支炎、肺炎のかなりの原因になっています。)などによる異型肺炎ということになりま す。 |
|
�マイコプラズマ感染では、他にどんな症状を起こしてきますか? |
マイコプラズマは、ほかに上気道炎(ふつうのカゼ)、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、胸 膜炎などあらゆる気道の感染を引き起こします。気管支喘息の引き金になることもあります。いろんな形の発疹は比較的多い症状です。稀ですが、髄膜炎、脳炎、腎炎、溶血性貧血な どの重症となることもあります。 |
|
�どのような場合に、外来で治療可能ですか? |
上に述べたように、マイコプラズマ肺炎は肺炎としては軽症であることが多いのです。特 に年長児の場合は、激しい咳はありますが、熱がないこともあり、ふつうに生活して、時には学校に行 っている場合もあります。ですから、食欲があり、薬がきっちりとのめる場合は、内服の抗生剤 (エリスロシン、リカマイシン、クラリス、ジスロマックな ど)だけで治ることがあります。少しひどい場合は、外来で点滴(ダラシン、ミノマイシンなど)をすることもあります。 |
|
�どのような場合に、入院になりますか? |
全身状態が不良の場合です。すなわち、高熱で水分がとれず、脱水状態になっている時や、咳が激しくて睡眠や食事が著しく妨げられる場合です。この場合はマイコプラズマ以外の細菌にも二重に感染している可能性もあります。多くの場合、一週間前後の入院が必要です。 |
2011年6月1日星期三
マイコプラズマ肺炎
订阅:
博文评论 (Atom)
没有评论:
发表评论